ゴルフの打ちっぱなしで「練習するほど下手になる人」の共通点。足りないのは練習量ではなく“連動性”かもしれない
こんにちは。
BodyAll池袋代表、身体再構築アーキテクトの平岡浩司です。
僕は子どもの頃からゴルフに触れてきました。
地元の野球チームにも入り、サッカー少年団にも入り、スイミングスクールやテニススクールにも通っていましたが、小学生、中学生の頃はゴルフ練習場のジュニア会員になり、毎週のように打ちっぱなしでボールを打っていました。
ただし、僕自身はその後プロゴルファーになったわけではありませんし、コース経験も決して多い方ではありません。大人になってからは、競輪選手としての競技生活もあり、ゴルフをする機会自体はかなり減りました。
一方で、現在は身体を仕事にする立場として、プロゴルファーのボディケアを担当した経験もあり、本気でゴルフに取り組むアマチュアゴルファーもBodyAllに通っています。
だから僕が今回書きたいのは、
「クラブをこう振ればスコアが縮まる」
というゴルフ技術の話ではありません。
身体を見る専門家として、ずっと気になっていることがあります。
それは、
打ちっぱなしで何百球も練習しているのに、なぜか上手くならない人がいる。
ということです。
場合によっては、
練習すればするほどスイングが崩れていく。
なぜそんなことが起こるのでしょうか。
僕が身体を見ていて感じる大きな要因の一つが、
「身体の連動性」です。
100球打てば、100球分上手くなるわけではない
ゴルフ練習場に行くと、
100球。
200球。
時には300球。
ひたすら同じクラブを振っている人を見かけます。
もちろん、反復練習そのものが悪いわけではありません。
ゴルフには反復が必要です。
でも、
繰り返せば繰り返すほど必ず上達するのであれば、最も多くボールを打った人が一番上手くなるはずです。
実際にはそうなりません。
問題は、
「何を繰り返しているか」
です。
身体がうまく連動しているスイングを繰り返しているのか。
それとも、
腕だけで振る。
腰だけを無理に回す。
身体が流れる。
足が使えていない。
力む。
毎回違う場所で帳尻を合わせる。
そんな動作を何百回も繰り返しているのか。
この違いは非常に大きい。
ゴルフは「腕でクラブを振る競技」ではない
クラブは手で握っています。
だからどうしても、
「腕をどう振るか」
「手首をどう使うか」
に意識が向きやすい。
でも実際のゴルフスイングは、もっと複雑です。
地面を踏む。
足部で身体を支える。
膝や股関節が働く。
骨盤が動く。
体幹が連動する。
胸郭が回る。
肩甲帯が動く。
腕が動く。
手首を通してクラブへ力が伝わる。
僕はこれを、
身体の中で力を“つないでいく”作業
だと考えています。
どこか一ヶ所だけが強くても、その力が次へ伝わらなければクラブにはうまく乗りません。
最新研究でも「地面の使い方」は重要視されている
これは僕だけの感覚ではありません。
2026年に『Sports Medicine』へ掲載されたゴルフスイングに関するシステマティックレビューでは、24研究が検討され、地面反力(Ground Reaction Force)や足圧中心(Centre of Pressure)の変化と、クラブヘッドスピードや競技レベルとの関連が報告されています。
上級者ほど高い地面反力を示す傾向も確認されています。つまり、クラブを速く振るという現象は、単純な腕力だけでは説明できません。
2024年の『Sports Medicine』のメタ解析でも、クラブヘッドスピードとの関連が強かった身体能力として、下半身・上半身の筋力だけでなく、ジャンプ能力や爆発的なパワーが挙げられています。
特にジャンプ時の力積や上半身の爆発的な力は比較的大きな関連を示していました。反対に、この解析では単純な柔軟性との有意な関連は確認されませんでした。
つまり、
「柔らかくなれば飛ぶ」
「腕を鍛えれば飛ぶ」
「体幹を固めれば飛ぶ」
そんな一要素だけでゴルフを説明するのは難しいということです。
「腰をもっと回してください」で本当に回るのか?
ゴルフをしている人からよく聞くのが、
「もっと腰を回せと言われました」
「肩をもっと回せと言われます」
という話です。
でも僕は身体を見る立場なので、そこで一度止まります。
そもそも、その人の身体は本当にそこを動かせる状態なのか?
例えば、
足首が使えない。
股関節が動かない。
片側へ体重を乗せられない。
胸郭が回らない。
肩甲骨が動かない。
体幹を固めすぎている。
そんな身体に対して、
「もっと回せ!」
と言ったらどうなるでしょう。
身体は何とか指示を達成しようとします。
そこで別の場所を過剰に動かして帳尻を合わせる。
これが僕の言う、
連動が崩れた状態
です。
フォームが悪いのではなく「そのフォームしかできない身体」かもしれない
ここは僕がゴルファーを見る時にかなり重要だと思っているところです。
スイング動画を撮って、
「ここが開いている」
「頭が動いている」
「腰が回っていない」
とフォームを直す。
もちろん技術指導として必要なことです。
でも、
なぜそうなっているのか?
まで見ないと、身体はなかなか変わりません。
本人がそのフォームを選んでいるとは限らないからです。
例えば股関節が十分使えない人が、身体を回そうとすれば、
膝。
腰。
上半身。
腕。
どこか別の場所で補います。
その状態で動画を見ながら、
「膝を動かすな」
「腰を動かすな」
「頭を残せ」
と一つずつ止めていく。
すると今度は、身体全体が固まってしまうこともあります。
僕はこれを、
フォームの問題だけではなく、“身体側の選択肢が少ない”問題
として考えることがあります。
上手い人ほど、全員まったく同じ動きをしているわけではない
ここも面白いところです。
熟練ゴルファーのスイングを調べた研究では、胸郭や骨盤の動き方に個人差があっても、インパクトへ近づくにつれて手やクラブヘッドの軌道のばらつきは小さくなることが示されています。
つまり、
上手い人は身体の各部分を全員同じように動かしているわけではない。
それでも最終的にはクラブを必要な場所へ運んでいる。
これ、僕はものすごく重要だと思っています。
僕が以前から言っている、
「人間の身体に完全な一つの正解を押しつけない」
という考えにもつながります。
身長。
骨格。
柔軟性。
筋力。
過去の怪我。
左右差。
競技歴。
全部違う。
ならば、全員が完全に同じスイングになる必要があるのでしょうか。
大事なのは、
見た目が誰かと同じことより、本人の身体の中で動きがつながり、最後にクラブをコントロールできること。
だと僕は考えています。
「連動性」とは、順番を暗記することではない
ここで言う連動性とは、
「足→腰→肩→腕の順に動かしましょう」
という単純な話ではありません。
ゴルフスイングの運動学をまとめたシステマティックレビューでも、キネマティックシークエンスを含め、多くの研究が存在する一方、測定方法や結果にはばらつきがあり、唯一絶対の理想的な身体の動かし方を単純に決められる段階ではありません。PubMed
僕が言う連動とは、
必要な場所が必要なタイミングで働き、他の部分と協調して一つのスイングになること。
です。
身体は機械ではありません。
一ヶ所ずつ順番にスイッチを入れているわけではない。
同時に支え、
同時に動き、
同時に調整しています。
「何も考えず同じ球を打ち続ける」が最善とも限らない
練習方法についても研究があります。
2024年に発表されたゴルフのモーターラーニングに関するシステマティックレビューでは、52件のRCTが検討されました。
そこでは、
自分の身体の部位そのものを意識し続けるより、クラブやボールなど身体の外側へ注意を向ける“外的フォーカス”
や、
練習条件にある程度変化を持たせる方法
などが、ゴルフの運動学習に有利となる可能性が示されています。
一方で、研究の多くは初心者のパッティングなど比較的単純な課題で、上級者のフルスイングへそのまま当てはめるには限界もあります。
さらに一般的な運動学習研究でも、毎回同じ課題をまとめて反復する練習より、課題を変化させる練習の方が、後の保持や別条件への転移で有利になる場合があることが報告されています。
だから僕は、
「球数を打った=良い練習をした」
とは考えません。
練習量ではなく「何を身体に学習させているか」
ゴルフの打ちっぱなしで怖いのは、
間違った動きをしていることそのものより、その動きがどんどん上手くなること
です。
腕だけで帳尻を合わせる。
身体を固めたまま振る。
腰を無理やり回す。
毎回同じ場所に負担を集中させる。
それでもボールがある程度飛べば、
身体は、
「これでいいんだ」
と学習していきます。
すると打てば打つほど、その動きに慣れてしまう。
だから、
練習するほど下手になることがある。
という表現を僕はあえて使います。
正確に言えば、
練習量そのものが人を下手にするわけではありません。
身体の連動が崩れた状態のまま、同じ補正動作を大量に反復すると、上達につながらないどころか修正しにくくなることがある。
という意味です。
BodyAllでは「ゴルフのスイング」を教えるのではありません
ここは明確にしておきたいです。
BodyAllはゴルフスクールではありません。
僕が、
「クラブを何度に入れろ」
「フェースをこう使え」
と技術指導する場所ではありません。
それはゴルフコーチの専門領域です。
BodyAllが見るのは、
そのスイングをするための身体が、本当に使えているか。
です。
股関節は使えるか。
足裏で地面を捉えられるか。
左右へ重心を移せるか。
胸郭は回るか。
肩甲骨は動くか。
必要な時に体幹を支えられるか。
力を抜くところで抜けるか。
身体の一部だけが頑張っていないか。
そして、
足元からクラブまで、力がつながっているか。
そこを見ます。
「もっと練習する」前に、身体を見直した方がいい人がいる
ゴルフが上手くならない。
以前より飛ばなくなった。
後半になるとスイングが崩れる。
練習すると腰や肘が痛くなる。
レッスンでは分かるのに、自分では再現できない。
そんな時、
「練習が足りない」
だけで終わらせないでほしいんです。
技術ではなく、
身体がその動きを実行できる状態にない
可能性もあるからです。
ゴルフは、クラブを振る競技である前に「身体を使う競技」
ゴルフは止まっているボールを打つ競技です。
だから簡単そうに見える。
でも僕は、
ものすごく高度な全身運動
だと思っています。
地面から受けた力を、
脚。
骨盤。
体幹。
上半身。
腕。
そしてクラブへつなぐ。
しかも、その一連の動きを短時間でコントロールする。
だから、
筋力だけでもダメ。
柔軟性だけでもダメ。
フォームだけでもダメ。
身体全体がどうつながっているか。
そこまで考える必要があります。
練習量を増やす前に「連動」を考える
100球打つ。
200球打つ。
それ自体は悪くありません。
でも、
100球すべて同じ悪い身体の使い方を繰り返していたらどうでしょう。
ゴルフが上手くなりたいなら、
ただボールを打つだけではなく、
自分の身体がどう動いているか。
どこが動いていないか。
どこだけが頑張っているか。
力がどこで途切れているか。
一度そこを見る。
それだけで、練習の意味が大きく変わることがあります。
練習量を増やす前に、身体の連動性を見直す。
BodyAllがゴルファーに伝えたいのは、そこです。
平岡浩司・BodyAll池袋
平岡浩司は元プロ競輪選手として約20年間活動し、現在はBodyAll池袋代表、身体再構築アーキテクトとして一般の方からアスリートまで身体づくりをサポートしています。
幼少期からゴルフ練習場のジュニア会員としてゴルフに親しみ、現在はプロゴルファーのボディケア経験を含め、競技志向のアマチュアゴルファーの身体づくりにも関わっています。
BodyAllではゴルフ技術そのものではなく、筋肉・関節・神経・重心・バランス・身体の使い方を含め、ゴルフスイングを実行するための身体機能を総合的に見ています。
参考にした主な研究
Watson A, et al. Ground Reaction Force and Centre of Pressure During the Golf Swing and Associations with Clubhead Speed and Skill Level: A Systematic Review. Sports Medicine. 2026. PubMed Central (PMC)
Brennan A, et al. Associations Between Physical Characteristics and Golf Clubhead Speed: A Systematic Review with Meta-Analysis. Sports Medicine. 2024. PubMed
Barzyk P, Gruber M. Motor learning in golf—a systematic review. Frontiers in Sports and Active Living. 2024. PubMed Central (PMC)
Horan SA, et al. Movement variability in the golf swing of male and female skilled golfers. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2011.
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BodyAll
住所 : 東京都豊島区南池袋2丁目14−1
マンション池袋803
電話番号 : 090-8225-3209
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